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「そんなんだから、千佳ちゃんと上手くいかないんだよ」
「……まあ、千佳のこと嫌いになったわけじゃないし、もうちょっと頑張ってみる」
大輔は、そういいながら、千佳ちゃんにメールを打っていた。
『ごめん。昨日は、俺が悪かった』ぶっきらぼうで、乱暴で、けどそれが大輔の愛情でもある。
長年付き合ってる私に対してもそうであるように、もとい今の彼女である千佳ちゃんに対しては尚更。
千佳ちゃん。本名、佐伯千佳。
私より頭一つ分くらい背が小さくて、肩まで伸ばした髪がいつもフワフワと揺れてるような女の子。
クラスの男子が可愛いと噂していたこともあって、大輔の前にも何人か彼氏はいたっぽい。
小動物みたいな見た目なのに、実家は、バッティングセンター。
中学までソフトボールをしていて、県大会まで出たのだという。
そんな彼女のことは、大輔からの又聞きでしか知らない。正直、千佳ちゃんと呼んでいいのかも分からない。
だから、どこかその千佳ちゃんとは壁があった。昔から、大輔の彼女とは仲良くしてきたはずだったけど、今回はいつもと違う。
ガタンゴトン。
電車が大きく揺れて、身体が勢い良く傾いた。
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