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私と春くんが付き合い始めたのは、3ヶ月前だった。
大輔の友達だった春くんが、大輔を通じて仲良くなって告白された。
自然な流れだったし、いいと思った。そこそこカッコよかったし、それに何よりも優しかった…はず。
あの現場を見るまでは。
「ねえ、由希奈、今週の日曜空いてる?映画のチケット貰ったんだけど、日曜まででさ。行かない?」
「あー…」
私は曖昧に答えた。
正直、行きたくはない。というか、別れたい。
…けど、別れられない。
「嫌?嫌ならいいけど…」
「考えとく。もし、無理だったら、大輔とでも行って。あいつ多分暇だから」
そういうと。あ、そうか。と、何に納得したのか、見せていたチケットをそそくさとカバンの中に戻した。
3ヶ月間。この人と付き合ってて、楽しくなかったと言えば嘘になる。
それなりに、デートもしたしキスもした。春くんの部活が終わるまで待ってたりもした。
私なりにつくしたつもりだった。
「なあ、最近、怒ってる?」
「え?」
「今だってさ、俺の話、全く聞いてないし。顔だって笑ってない」
急に、核心をつくような発言に驚きを隠せなかった。
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