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このままいっそ別れてしまうかな。そうしてしまえば、こんなに悩まなくても済むし。
「別れよっか」
「は?」
「ごめん。突然だけど」
春くんは、足を止めて、私の手を掴んできた。
私よりも一回り大きな手。
「なんで?」
心当たりある癖に。
春くんは目を見開いて、私の目を見つめる。
「見たのよ。春くんと千佳ちゃんが抱き合ってるところ」
「え…」
「正直ありえない。
私だけならともかく、大輔まで裏切る気だったの?」
「いや、そんなわけじゃ…」
「じゃあ、なんであんなことしてたのよ!」
ヒステリック気味な声をあげてしまった。幸い、近くに学生はいない。
「……黙ってないで、なんとか言ってよ。というか、弁解もできないんでしょ」
それでも、黙り続けてる春くんを呆然と眺めてる私はなんて滑稽なんだろう。
さっさと答えてくれないと余計虚しくなるだけじゃん。
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