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森の木々の隙間から、光が注す中少年二人がダルそうに歩いている。
日陰だからといっても、気温は軽々30℃を越している。
湿度も無駄に高く、最悪な気候だ。
「暑い!
これじゃあ…溶けちゃうじゃねーか」
一人の少年が言った。
片腕に赤いラインが入っている黒いジャケットを持ち、ハッキリとしていない足取りで歩いている。
歩くたびに微妙に揺れる遠目でも目立つ紅髪はに、周りの人のやる気をすいとるような、金色の瞳。
もっと、パッチリしていたら、きっと希望を与えていたのかもしれないと、思われるほどの綺麗な色の瞳なのだ。
この少年、梓右京(アズサウキョウ)は未だにグチグチと、暑さについてのことをひたすら一人で、言っている。
「これしきの暑さで溶けてしまったら、それもそれで凄いだろう」
呆れながら、右京の話に意見するもう一人の少年、獅鏡霧都(シキョウキリト)
見るからに暑っ苦しい羽織を、羽織り腰には二本の刀を下げている。
深海のような色の髪の毛は、長く上の方に一本で結わい付けてある。
髪の毛同様の色の、瞳は綺麗に透き通っている。
「でもよ…こんな暑いんじゃ、嫌でも口にしちまうよ」
パタパタと手で、自身を扇ぎながら言う。
「まぁ、そうだが…」
小さなため息を一息つき木々の隙間から、太陽を見る。
右京も、何だかつられてみた。
「今お前ため息ついたから、幸せ逃げたぞ」
「…一つや二つ減っても別に構わん」
暑さのせいで、全く弾まない会話。
こんな会話をしていても楽しくないと気がついた 二人は、口を開くのをやめてしまった。
暫く無言のままで歩く二人の耳には、煩いセミの鳴き声が聞こえる。
二人はそのセミの鳴き声に耐えられなくなり、大きな声をあげる。
「「あー!
煩いッ!!」」
だが、こんなのではセミが鳴きやんでくれるはずもなく、むしろ酷く鳴き始める一方だ。
「なぁ…
霧都」
右京が、かすかすの声で言った。
「お前さ、道間違ってるだろ」
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