第一訓

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だいたい家事全般は、霧都の仕事なのだ。 右京の仕事といったら、ゴロゴロして昼寝することだろう。 「今日の飯なに?」 歌が終わり、CMになったとき右京は振り返り、今日の夕飯の、メニューを聞く。 「味噌汁。野菜炒め」 霧都はそれだけをいい、料理に集中する。 料理中は毎回このような会話になる。 何事も集中する霧都は、今のように話し掛けられると、必要最低限以外のことは全く喋らないのだ。 夕飯を聞いた右京は、再びテレビを見始める。 そして、暫くテレビの音しか聞こえない時間。 「あ、右京。」 テレビの最中に、霧都が何かを思い出したかのように、口を開いた。 霧都が喋り出したということは、料理が終わったのだろう。 右京は霧都の話を聞き始める。 「何だか、手紙が来ていたぞ」 霧都は、そう言いながらゴソゴソと手紙を入れている箱からその手紙を取りだし、右京に見せる。 桜色の封筒の裏には、何だか丸っこい字で "探偵さんへ" と書いてある。 まだ、封を切っていなかった手紙を、右京が丁寧に開けていく。 どうやらこのようなことには、差尊重にやるタイプのようだ。 封筒の中身は、桜色の用紙に丸っこい字で長々と文が書かれていた。 探偵さんへ 行きなりの文をお許しください。 私は、隣町の商店街に住んでいる者です。 最近、この町では辻斬り事件が発生していて、とても危ないのです。 ですから、是非とも探偵さんに犯人を見つけてもらいたいんですね。 御手数御掛けしますが宜しくお願い致します。 塊燈乘衣(カイトウノエ) 一通り読み終わった二人。 「…これって、俺らの仕事じゃねーよ」 手紙をヒラヒラさせながら、右京は呟く。 「俺ら警察じゃねーし… 確かに探偵っちゃ探偵だけど、探偵らしいことできねーよな」 「確かに」 右京と、霧都は小さな、ほんっと小さな探偵業を営んでいる。 だが、何の事件も全くもって解決したことなどなく、普通のお遊び程度なのだ。 用に、名だけの探偵ということ。 「しかもよ、辻斬りってヤバくね?」 頭で辻斬りを浮かべながら言う右京に、霧都もつ られて思い浮かべる。 「一歩間違えたら、死ぬな」 霧都がそういうと、右京が何かを決心したように、 「よし、じゃあこれは却下。」 .
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