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サラッと言った右京は、再びやり始めたアワビさんを見るのに集中する。
この集中力は半端ないくらいだ。
例えば、先のとがったものを、机の上に立てるときの集中力だ。
いや、これじゃあ今一わからないが…
時々大きな声で笑う右京の姿を見て、霧都は少し大きな声であることを言う。
「そういえば、今回の事件の報酬金が55万だと聞いたが…」
その言葉から、すべて動き出した。
右京は、即座に見ていたテレビを消し正しい姿勢をして、霧都に満面の笑みで言った。
「勿論いくぜっ!
こんな事件ちょちょいのちょいさっ!」
どうやら人間は、金さえあればサクサク動き生き物と認識した霧都だった。
いや、訂正しよう。
右京は金命。
にしとくとしよう。
そう一人で思っていたところ、右京が霧都に一声かける。
「お前も早く準備しろよ」
本当に行く気になったようだった。
右京は、自室で真面目に準備していた。
「夕食を食べてから出発としよう」
そう言い返し、霧都も自室へ向かい準備をし始める。
そして、数分後二人は夕食をおいしく食べ、隣町にいる依頼者のところへ向かうことになった。
* * *
だが、見事に迷い今に至るわけだった。
「てめーは、地図みるの下手すぎなんだよ」
右京は、来ている服をパタパタさせながら霧都に愚痴り始める。
このような些細なこと、下らない子供が言うようなことに霧都も乗ってしまう。
「少なくとも、貴様よりはちゃんとみれる」
もう、19歳というのにも関わらず、このように下らない原因から口喧嘩が始まり、決着がつくまで言い合っているのだ。
外見がいくら大人でも、頭は子供以下だ。
「んじゃあ、貸してみろよ。
これで俺の言う通りだったら、お前土下座して、百回謝れよ?」
「馬鹿言え、絶対貴様になどわからん。
逆に貴様が、土下座して百回謝れ」
こんな感じな口喧嘩が始まり、数十分がたったところ、なんとトドメをさすように雨がポタポタと降ってきた。
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