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そういえば、先程町についたのでは?
と、疑問に思ったかたもたくさんいるだろう。
が、あのあとこの二人には、災難がふりかかったのだ。
町に向かって、突っ走っていった右京の目の前には、見たこともないようなほどの大きな、熊が丸くなって眠っていたのだ。
なんとまぁ、運の悪いやつなのだろう、と思うが災難はこれだけではなかった。
あのとき、物音をたてずに忍び足でいけば気づかれずにすんだのかも知れなかったのだが、あとから追いかけてきた霧都が、なんとこの人も同じく運悪く、よくアニメなどの展開である、石に躓き、転ぶという大失態を犯してしまったのだ。
かなり派手に転けたため、物音は熊には十分の大きさだった。
物音に驚き飛び起きた熊は、結核の安眠を邪魔され、かなりの機嫌の悪さだった。
勿論この後どうなったかは言うまでもないが…。
見事追いかけられる羽目になってしまった。
全力で逃げるうちに、どこをどのように歩いているのが全くわからなくなった二人。
そして、今に至るわけだった。
「テメーが転けなきゃこんなとこ来なかったはずだ!」
日も暮れ、右京の機嫌も最高潮に悪くなっていた。
「転ぶ転ばないの前に、貴様があのとき走らなければよかったのだ!」
勿論霧都も、負けず衰えずと機嫌が悪い。
こんな森奥に、大声で喧嘩し始める二人を止めるものはない。
そのため、思いっきり喧嘩をして決着がつくはずだったのだが、これまた以外なものに喧嘩を止められることになる。
「うるせーな!
誰だってあんな死にそーな状態の時に、町見たらぶっ飛んで行くだろ!」
「毎回毎回そんなことだから、こうやってさ迷うのだろう!
もっと、冷静に物事考えたりすればよいものではないか!」
こんな言い合いが長い時間続いた。
二人は、息を切らしながら、お互いが引くのを待っていた。
と、その時_
ぷーーーん…ぶーーーん_
「あ!」
ぺちんっ!
短い声と肌を叩く音が聞こえた。
この声はどうやら、右京のようだ。
「かゆっ!
だぁーーー刺された!」
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