【第二幕】

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テントの中で、濡れた髪を揺らしながら、笑顔で手招きする由紀の姿があった。 佳祐はほって置き、由紀のもとへと足を運ぶ梓。 後ろで不満いっぱいに騒ぐ佳祐を取り押さえている友宏には、後で礼を言っておこう。 由紀のもとへたどり着くと、由紀が何か言いたげな表情を浮かべていたが、先に言葉を発したのは梓だった。 「身体、冷えてないか?」 心配そうな声で、由紀の体調を伺う。 「ううん。大丈夫」 「そっか。……よかった」 安心した笑みを浮かべた梓の腕を、ぐいっと引きつける由紀。 されるがままに、身体をとられ、由紀との距離は一瞬で縮まった。 梓の耳元で、由紀が囁いた。 「まだちゃんと言ってなかったよね。 ……来てくれて、ありがとう」 由紀の甘い声が、すぐ耳元から流れ込む。 同時に顔が真っ赤になっていくのがわかった。自然に由紀と目を合わせたとき、真っすぐ視線を注ぐ由紀の瞳に、思わず目を逸らしてしまった。
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