【第三幕】

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ルーズリーフの一番上に書かれていたのは、『学園祭のクラス企画アンケート』だった。やってみたいと思った企画に、「正」の記号で投票するらしい。 現在の一番の人気はお化け屋敷。20票以上を獲得している。 学園祭と言ったら、どこのクラスもやりたがるような企画なので、うちのクラスの希望が通るかはわからないが、一応それに投票しておいた。 他の候補としては、メイドカフェ、占い相談、不審者と互角に渡り合うための講座……などなど、どれもふざけている。特に、8票も獲得している『ホスト&キャバクラ』には少し関心を持ってしまった。 いや、これ絶対ダメだろ……。 この件は、クラスの学園祭運営委員が管理しているのだろう。おそらく、俺たちのやる企画にはおにぎりの監視の目が光るはずだ。半端なものでは、ヤツは納得しない。 ペンを置き、その紙を折り畳んで前の席へと回した。 もう学園祭の時期かと実感が湧いて来たのと同時に、由紀のことを思い出し、再び落ち込む。 こんな時期に学園祭かよ。 自然とため息が出た。 教室で淡々と流れる教師の言葉が、いつも以上に頭に入ってこないのに気づき、手を枕代わりにし、そっと眠りに着いた。
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