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「お前らが今回の紅風祭[コウフウサイ]で優勝したらなー……特別に、ハーゲン○ッツを好きなだけ食わせてやる!」
どうだと言わんばかりに、鼻の穴を大きく広げ、腕を組んで仁王立ちする鬼壁。
その言葉にいくつかの声が飛び交う。
『嘘つけー!』
『おにぎりがそんな太っ腹なわけない!』
『痩せ我慢するなー』
みな信じていないらしい。少なくとも俺も信じていないが。
みなの言葉に、困った様子の鬼壁を見て、クスっと笑う由紀の姿が視界に入った。
今まで笑い話があれば、顔を合わせ、いつもの笑顔を見せてくれる由紀。今はこちらに視線を向けることをしない。
心の中の虚しい想いが、数秒かかってこだました。
すると、突然立ち上がる由紀。突然だったため、みなの視線が由紀に集中する。ざわついていた教室に、一時の静けさが生まれた。
みんなの注目を集めたまま、周囲を見渡して、明るい表情で声を発した。
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