【第三幕】

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「よし、んじゃあ早速だが、クラスの出し物を発表する!」 鬼壁は、さっきまでの頼りない姿とは一変して、はきはきとした声で続けた。 「一日目のクラス企画部門は、『お化け屋敷』になった! 責任者は俺が決めた。……横田 佳祐と天野 夏帆。センスと経済力を考慮しての結果だ。文句あるか?」 経済力って、横田建設のことだよな? 絶対。 鬼壁は指名した二人に一瞥をくれた。それに答える言葉は即答だった。 「おう、任せろ」 「私もー! やりたかったから文句なしでーす」 佳祐と夏帆は、明るい声で答えた。この決定には、クラスメイトのほとんどが賛成していた。夏帆のセンスに加え、資材などは佳祐がなんとかしてくれるという確信があったからだ。 「うぬ。で、二日目の演劇部門だが……テーマは、『ロミオとジュリエット』で勝負する!」 右手に持っていたマサムネをバシッと黒板に叩きつけて言い放った。 は? ……お前の頭のどこからその案が出てきたんだよ。しかも真面目な顔で言っているところがまた笑える。 ポカーンと口をあけていたクラスメイトたちを嘲笑う鬼壁は話を続ける。 「演劇に関しては、監督役として友宏に一任する。そして、主役は既に決めてある……川瀬 梓と七海 由紀。お前らだ」 ……え?
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