【第三幕】

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紅風祭に向け、着々と準備を進めていた。紅風祭まで残り二週間ほどだ。 ガラガラー、バシ! 「みんな! お化け屋敷にぴったりの場所。なんとかとれたぜー!」 放課後の騒がしい教室に、豪快にドア開けて飛び入ってきた佳祐が嬉しそうに声をあげた。その声に、クラスメイトの歓声が飛び交う。 「「「おおー!」」」 まだ場所も聞いてないのにこの盛り上がり様。学園祭の力とはすごいものだ。 「で、どこなの?」 黒い布のサイズを計りながら興味津々に問い掛ける夏帆。 「へへっ。旧校舎だ!」 どうだと言うかのように自慢げな顔をして答えた佳祐。その言葉に拍手が沸き起こった。 『最高じゃん!』 『本当。よくあそこ使わせてくれたね』 『まあ準備が大変そうだけど、やり甲斐はあるなー!』 みな興奮しながらはしゃいでいた。ただでさえ騒がしい教室がいっそうに騒がしい。 少しの間その騒がしさが続いたが、数分でおさまった。 クラスの学園祭に向ける雰囲気は悪くない。他のクラスの準備も日に日に本格的になり、各クラスの担任が鬼壁と“賭け”をしているということにも実感が湧いた。 明らかに去年のクオリティーとは格が違う。いや、去年のことはあまり覚えていないが、クラスメイト一人一人の意志が違うのは確実だった。 その雰囲気とは少しかけ離れ、心のどこかに曇りがかった気持ちを抱く梓。由紀とは劇以外で話すことはなかった。
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