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早朝の教室。
一人、胸いっぱいの想いを抱え、教室の中心に立ち尽くす。
髪は淡い黄色で、すらっとした長身の身体を奮わせる。
名前は、川瀬 梓[カワセ アズサ]。
スぅーとゆっくり息を吸って、心を落ちつける。
……大丈夫だ。いける。
何度も自分に言い聞かせるが、『緊張する』という行動をやめない俺の身体。奮える身体の振動が足を伝って床に打ち付ける。
窓の開いた教室には、春の風が心地良く吹き抜ける。
今日、俺はあの子に言うんだ。素直な気持ちを伝える。
例えダメだったとしても……言わないで後悔するより、言って後悔した方がいい。
どこかで耳にした言葉で自分を励ますが、実際はそんな言葉では勇気など出ないものだ。
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