【開 幕】

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「はい……なんでしょう」 「……川瀬。お前、今日の日直だよなぁ? 俺の竹刀が見当らねーが……どーゆうことだ?」 ヤベェ、忘れてた。 毎週月曜日には、日直が剣道部の部室から、超高級竹刀『マサムネ』を借りてこなければならない。 ってか、今どき竹刀持ち歩く先生って……どんだけぇ! 「あ、すいません。……すぐに行ってきます」 「へっ! とっとと行けい! ハッハッハ―!」 と威勢のいい声で、満足げに言い放った。あの野郎……と思いながらも従う梓。 このクラスになったからには、ヤツに従うしかない。ふて腐れたりでもすると、体育の授業中はぶっ倒れるまで走らされる。 梓は席からゆっくり立ちあがり、静かに教室を後にした。 クラスメイトの中には笑っているヤツもいるが、この光景はいつもの事だ。 生徒の声がどよめく中、おにぎりが、バンッ! と教卓を叩いた。 「よし! ……んじゃ、朝のSHR終わり。今日の日程連絡が知りてぇヤツは、隣のクラスのやつにでも聞いとけ。あい、解散!」 ポカンと口をあける生徒たち。 こんな先生でも教師になれるというから困った話だ。
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