165人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい……なんでしょう」
「……川瀬。お前、今日の日直だよなぁ? 俺の竹刀が見当らねーが……どーゆうことだ?」
ヤベェ、忘れてた。
毎週月曜日には、日直が剣道部の部室から、超高級竹刀『マサムネ』を借りてこなければならない。
ってか、今どき竹刀持ち歩く先生って……どんだけぇ!
「あ、すいません。……すぐに行ってきます」
「へっ! とっとと行けい! ハッハッハ―!」
と威勢のいい声で、満足げに言い放った。あの野郎……と思いながらも従う梓。
このクラスになったからには、ヤツに従うしかない。ふて腐れたりでもすると、体育の授業中はぶっ倒れるまで走らされる。
梓は席からゆっくり立ちあがり、静かに教室を後にした。
クラスメイトの中には笑っているヤツもいるが、この光景はいつもの事だ。
生徒の声がどよめく中、おにぎりが、バンッ! と教卓を叩いた。
「よし! ……んじゃ、朝のSHR終わり。今日の日程連絡が知りてぇヤツは、隣のクラスのやつにでも聞いとけ。あい、解散!」
ポカンと口をあける生徒たち。
こんな先生でも教師になれるというから困った話だ。
最初のコメントを投稿しよう!