【開 幕】

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~ 七海 由紀 ~side どうしよ。私も日直なのに。アズくんだけが怒られて。怒ってないかなぁ……。 隣の、梓の席をじっと見つめる。 おにぎりが教室を去ると、みな言いたい放題に文句を言っていた。 『ヤツは本当に教師なのか?』 『さあね。多分、自分が楽しむことしか考えてないと思う』 『教師失格だな』 『俺、将来……教師になろうかな―』 『『『……え?』』』 そんな中。 「ゆーきーりん! おっはよー」 ふと顔をあげる由紀。声をかけてきたのは、同じクラスの天野 夏帆[アマノ ナツホ]だった。 由紀の幼い頃からの親友であり、一番のよき相談相手だ。 「おはよー……なっちゃん」 由紀の元気のない返事に、夏帆はすぐに問い掛けた。 「ゆきりん? どしたの?」
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