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キーンコン カーンコーン――
気が付くと授業終了のチャイムが鳴り響いていた。
悲しそうに教室を去る数学教師の後ろ姿からは、今の授業の様子を連想させた。
私、眠っちゃったんだ……うーん、あとで誰かにノート借りなきゃ。
眠気によって、全く読みとれない字と化した自分の字。
ノートからはみ出ているところさえある。
「ゆーきりん! ご飯食べよ?」
「うん、食べよ。けどー……その前に、ノート借りたいな。なっちゃん、今の授業起きてた?」
「当たり前じゃーん。 私が寝るなんてプライドが許しませんわ。……なんちゃってね」
夏帆が照れるように言った。
「あら素晴らしい。さすが早稲田目指してるだけありますね」
「目指してるだけだよー。受からなかったらそれまでだしさ。はぁ、受験勉強も疲れたし、どこか遊びいきたーい!」
夏帆が大きい声でいい放った。
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