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今週から日直として、早朝から学校で当番をするわけだが、日直は二人。
そう、もう一人が俺の片思いの――
名前は、七海 由紀[ナナミ ユキ]。
俺は、由紀のことが小学生の頃からずっと好きだ。初めて会ったとき“この人が好きだ”と本能が悟った。
由紀は日直になる度、必ず俺より早く来て仕事を終わらせている。
それ故、「今日は俺が先に仕事はやっておこう!」と六時に学校に来たわけだが……さすがに早過ぎた。
しかもめちゃくちゃ眠い。
腹も減ってるし。……朝飯しっかり食べてくればよかった。
そんなことを考えているときだった――不意に、教室のドアが音を立てて開いた。
……こんな朝早くに?
ドアの方へ振り向くと、そこには正真正銘、今まで頭の中に思い描いていた実物のオブジェクトが存在していた。
透き通るような大きな瞳に、全国共通で言えるであろう整った顔立ち。
背丈は女子の平均よりも少し高く、その細い身体を扉に預け、もたれ掛かるように立っていた。
肩で呼吸をしているようで、少し息を切らしているようだ。
「あずくーん! 早いよー。いつももっと遅いのに……! 下駄箱に靴があったからビックリしちゃった」
おい、どんだけ早いんだよ。
ってかまだ気持ちの準備が――
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