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「俺さー、本当に怒ってない。……正直言うと、由紀とかと一緒に出かけられるなんて、嬉しくて仕方なかった。でも……――」
二人には自分の素直な気持ちを話した。
二人は黙って聞いてくれてたが、佳祐がそっと口を開いた。
「それを話す相手は由紀ちゃんに。……梓、お前って本当、勘違いされやすいな。まあでも、不器用でもお前なりの伝え方があるから。とりあえず行ってこい!」
佳祐の言葉にいつものチャラさは無く、饒舌な“女を落とす”ときのトーンで語られた。だが今の俺にとってはその言葉一つ一つが不快に感じられなかった。
「そっかそっか、やっぱり梓くんはゆきりんの事がね―……。ふふっ。ま! 授業中の様子見てれば、勘のいい私にはソッコーわかったけどね」
ニコっと笑顔を見せる夏帆は、爽やかで大人っぽく見えた。
何だか知らないが、俺はこの二人に応援されているらしい。成り行き的には嬉しいが、夏帆に知られてからの、今後が不安で仕方なかった。
昼食時の教室内は、いつも通りの騒がしさで、気楽に話し合うクラスメイトたちが羨ましく感じられた。
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