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「俺……行ってくる」
ゆっくりと席を立ち上がる梓に、佳祐が爽やかに微笑んだ。
「由紀ちゃんと仲直りできたら、今日の晩飯はおごってやるぜ! ほれ、はやく行ってこい」
「おう」
「ははは。いいな。梓くん行ってらっしゃーい 」
出勤前の夫を送り出すかのような言葉で、明るく手を振る夏帆の姿に、どこか根拠のない自信が生まれた。
そのまま一呼吸置くと、俺の身体は無心で動き出していた。
梓は二人を背に、教室を出た。
教室を出るとき、黒板の文字が目に映った。意味のわからない数式がいくつも書き連ねてあった。
今回のテスト……オワったなー。
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