165人が本棚に入れています
本棚に追加
/241ページ
佳祐の方へ歩み寄る。そのままいつも通りの挨拶を交わす。
「よお!」
「おう。佳祐、今日の昼に言ってた晩飯奢るって約束だけど――」
「あー、うーん。そんなこと言ってたかな」
どんだけ忘れっぽいんだ。
「ははは、そっか。んじゃ そのまま忘れといていいから」
穏やかな笑顔で返す梓の表情には、いつもの平然とした雰囲気を失っていた。それに対し、僅かな違和感を感じた佳祐は、徐に言葉を続ける。
「えー、なんだよそれ……金ならいくらでもあるから、どっか行こうぜ?」
その言葉を軽く言ってみせる高校生は、全国を探してもお前ぐらいだよ。
「いや……腹減ってないからいいよ。とりあえず、今日は家に居たい――」
いつにない物寂しさ感じた佳祐は、何を悟ったのか気の毒そうな表情を浮かべた。
「フラれたかぁ……。はぁ、そっかそっかー。」
お前は天才か。ってか理解すんのはえーよ。
最初のコメントを投稿しよう!