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「……由紀」
「ん?」
不思議そうにこちらを見つめてくる。
「俺さ……由紀のことが――」
『グゥぅーーー!!』
ん……?
朝から何も食べずにあれだけ動いたからなのか、俺の腹の悲鳴が聞こえた。
恥ずかしすぎる。
「ふふ。どうしたのいきなり……ってかどんだけお腹空いてるの?」
必死に笑いをこらえながら質問してくる由紀に対して、さっきとは違った意味で顔を真っ赤にする俺。
最悪だ。『腹が減っては戦はできぬ』の意味を改めて知った。うつむく俺に、近寄ってくる由紀。
「……早く起きたならご飯ぐらい食べられたでしょ? ……やっぱり無理してたんじゃん」
ばれたし。ばれ方最悪。
「いや……いつも由紀が一人で終わらせてるし。俺がはやく行っても、必ず終わってるし――」
かなり哀れな主人公である。だが、そんな男を優しく励ます少女。
「なんだ、気にしなくていいのに……。私、当番の仕事やるの苦じゃないもん。あっでもね、今日はあずくんと一緒にできたから、いつもより楽しかったよ……ありがと――」
な、なんていい人なんだ。
ってか今 『楽しかった』 って……。
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