【初 幕】

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そんな事を一人で考え込んでいたが、気付くとある喫茶店の前に立ち止まっていた。 「ここだよ!」 明るい声で由紀が声をかけてきた。 学校前の大通りから裏路へ出た、少々入り組んだ場所。小洒落たとても小さな店だったが、人が好むような穏やかで独特な雰囲気を醸しだしていた。 こんな綺麗な店あったんだ。 由紀は俺にかまわず、さっさと店に入っていった。 カランコローンとドアのベルが鳴った。 「カズおじさーん、おはよ。もう開いてる?」 お邪魔しまーすと言いながら俺もゆっくりと店に入る……。 「おう! 由紀ちゃんじゃねーか。今日は早いねー。どーしたんだい?」 薄いサングラスをかけためちゃくちゃイカついおじさんがいた。髪は金の短髪。今の時代には珍しいモヒカンヘッドだ。 こんな暴走族のお頭やってそうな人が、この綺麗な店のオーナーとは……人は外見でなんとやら。 「今日はね、友達がお腹が空き過ぎて倒れそうなの。だから、なんか美味しいもの食べさせてあげて欲しいの」 言い過ぎね。勘違いされちゃうでしょ? その言葉を聞いたイカついおじさんは俺に視線を向けた。眉間にシワを寄せてこちらを睨みつけていらっしゃる。 めちゃくちゃこえー! 完璧に嫌われてるだろ。ってかもう帰りたいんだが……。
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