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そんな事を一人で考え込んでいたが、気付くとある喫茶店の前に立ち止まっていた。
「ここだよ!」
明るい声で由紀が声をかけてきた。
学校前の大通りから裏路へ出た、少々入り組んだ場所。小洒落たとても小さな店だったが、人が好むような穏やかで独特な雰囲気を醸しだしていた。
こんな綺麗な店あったんだ。
由紀は俺にかまわず、さっさと店に入っていった。
カランコローンとドアのベルが鳴った。
「カズおじさーん、おはよ。もう開いてる?」
お邪魔しまーすと言いながら俺もゆっくりと店に入る……。
「おう! 由紀ちゃんじゃねーか。今日は早いねー。どーしたんだい?」
薄いサングラスをかけためちゃくちゃイカついおじさんがいた。髪は金の短髪。今の時代には珍しいモヒカンヘッドだ。
こんな暴走族のお頭やってそうな人が、この綺麗な店のオーナーとは……人は外見でなんとやら。
「今日はね、友達がお腹が空き過ぎて倒れそうなの。だから、なんか美味しいもの食べさせてあげて欲しいの」
言い過ぎね。勘違いされちゃうでしょ?
その言葉を聞いたイカついおじさんは俺に視線を向けた。眉間にシワを寄せてこちらを睨みつけていらっしゃる。
めちゃくちゃこえー!
完璧に嫌われてるだろ。ってかもう帰りたいんだが……。
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