【第二幕】

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「雨、止まないね」 由紀が小さく呟く。 「……うん」 ため息を漏らしながら、乾いた土にゆっくりと腰を下ろした。すると、尻の辺りに痛みを感じた。 ……ん? ポケットに手を突っ込み、何かを取り出した。 手の上で、微かに輝く貝殻。 自分でも気に入ってたので、持ち歩くことにしていたが、今は暗くてよく見えないので、由紀に自慢するのは今度にしようと決意した。 “奇跡の笛”かぁ。本当にそうならいいけど……。 そう思いながら貝殻に息を吹き込んだ。 スー……。 虚しい音が聞こえるだけだった。 なんだよこれ……音も鳴らないし、何も起きないし! ってか持ってるとチクチクして痛いし……。 一人で貝殻に八つ当たっているる梓に気付いた由紀が、不思議そうに声を掛けた。 「それなーに?」 懐中電灯で梓の手元を照らして、物珍しそうに貝殻を見つめていた。 ヤクタタズ貝だよ、 と心の中で呟いた。 「これー、佳祐から貰ったんだけど……」
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