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はじまり
わたしが魔法使いだったなら、今すぐにでも、時間を止めてしまうのに。
この瞬間を切り取って、いつまでもこの時を生きていたいのに。
でも、それが叶わないなら、
時間の流れを止められないのなら、
どうか、今だけは、
全てを忘れて、心から笑いたい。
心から笑っていた時が確かにあったと、
私の中に刻みたい。
悲観的?
悲劇のヒロイン気取り?
なんとでも言えばいい。
だって、確かに辛いもの。
だって確かに苦しいもの。
だからその暗闇に耐えられるだけの、
キラキラした、輝く思い出を私に下さい。
いつまでも色褪せない、鮮やかな思い出を、私に下さい。
それ以上なんて、欲張りはしないから。
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