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まるで暗闇から光の中に飛び出した時のように私の目は麻痺し、まともに瞼を開くのも難しかった。
焦点は合わず、ぼんやりと滲む視界が細かく揺れていた。
ただ、細目から覗くその中でも、色や明暗の区別くらいはつく。
ここは……ひどく暗い。
音もしない。
そう認識した時、私は急に出所の分からない曖昧な孤独感に襲われた。
寂しさの混じるその漠然とした感覚は身体を大きくぶるっと震わせ、無意識に一つの短い台詞を呟かせた。
「……恐い」
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