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バタバタと時間だけが過ぎ
悲しみに浸る間もなく葬儀が終わった
部屋には祭壇と生前の紗耶香の笑顔の遺影
そして白い箱…
「お母さん…こんなに小さくなっちゃって…」
白い箱を指先で優しくなぞる彩音
どっと悲しみが押し寄せる
「彩音…」
「お父さん…」
祭壇の前に座る彩音に拓哉は白い封筒を差し出した
「二通目の手紙だ…」
「あっ………」
封筒をあけると
愛しい母の文字…は無かった…
「紗耶香…お母さんは…震えた文字しかかけなくて…それが嫌だと言ってね…ノートパソコンで打っていたよ。強がりなお母さんらしいだろ?」
「そうだね…」
「後で読みなさい。お母さん最後まで彩音を心配してたな…大丈夫なのにな。」
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