夢見ぬ“少女”の猫

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兄が居ないから不思議…というのはおかしな表現だが、兄は16時以降からしか絶対に家を出ない。 それは小さい頃からずっとだった。 「なんでいないんだろ?」 少し気にかけるところもあるが、とにかく今はお風呂に入ろう、そういった気持ちだった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ふ~…ほんわか~」 少女の好きなことのひとつは入浴。 ほんわかしたこの空気が大好き……らしい。 「じゃあ……そろそろあがろっと~」 バスルームから出て、濡れた身体を拭き服を着て自室に戻る。 やはり居間には兄はいなかった。 「にゃあ~」 「ただいま~ネロぉ~」 次の目蓋を上げた瞬間だった。 「あれ……?ネロが大きくなった……?」 「いいえ、違いますよご主人!これが私の元の姿です!」 そこに居たのはネロではなく……… 一人の黒髪長髪の少女だった。
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