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昔々の、
いつかのお話。
あるところに
少女が一人。
彼女には
それはそれは
美しい母君と
逞しく優しい眼を持つ
父君が居ました。
三人は仲良く
どこの誰にも優しくて
とてもとても美しい人達でした。
身も、心も。
ある時流れの旅人が
少女一家の村へやって来て言いました。
『どうかこの汚い私目を一晩泊めてはくださいませんか？』と
旅人は茶色い擦りきれた
マントを羽織っていました。
村人は彼を避けました。
汚い奴め、寄るなと。
しかし少女一家は旅人を
自宅に招き入れました。
そして
彼に温かいご飯を
少し熱めの風呂を
ふかふかの布団を
当然かの様に
優しく、厚くもてなした。
旅人は寝室に向かう直前に
少しだけ笑いました。
少女一家は
ほんの少しの
旅人の笑顔が嬉しくて
笑い合い
少しだけ談笑してから眠りました。
そして次の日
少女は髪を撫でられた
気がして目が覚めました。
すると少女は一人になってしました。
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