おはよう

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少女はもうきっと旅人は この村へは来ないと思いました。 きっと村の人は あんな奴を家に入れるからだと 私達家族を笑うだろう。と思っていました。 少女は家の外のブランコに 場所を移していました。 もうどうしたら良いのか 誰を頼れば良いのか 近所の人や自警団等の 人を呼べば良い話だが 少女の頭はそこまで回っていなかった。 そして歪んでしまっていました。 するとそんな少女に 一人の男が話し掛けた。 『こんにちは。』と 少女はゆっくりと 目の前に立つ男を見上げた。 『貴方はだぁれ?』 男を見た少女の目は 死んでいました。 光を失い 濁っていました。 しかし男はそんな少女を 見ても表情を崩しませんでした。 『僕はワイド。ねぇ?君はあの旅人が憎いかい?』 そしてワイドは再び少女に 問いました。 けれども少女の耳には 届かなかったようで。 しかしワイドはまた 少女に語りかける。 『僕は君に何が起きたのか知っているよ。僕は君を救いに来たんだ。』と 少女は一度瞬きをした。 『僕はね神様に理不尽な理由で捨てられたんだ。』 すると少女はもう一度 瞬きをしてから言いました。 『だから?』 それは冷たく重たい声でした。 『僕が君を助けてあげる。』 こちらも 冷たい声色でした。 二人の周りには 暖かさはありませんでした。 日射しも体温も 感じられませんでした。
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