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『私にはもう、失うものは無いわ。』
少女は言い放った。
迷いもなく。
するとワイドは
少女に腰を折って深く礼をした。
『その深く暗い願い、しかと受け取りました。この身を削ってでも私達の願いを叶えましょう。』
続けてチュッと少女の手の甲に
キスをした。
少女はワイドに
聞いきました。
『もしどっちかが裏切ったりしたらどうするの?』
ワイドは驚きを顔に出したが
直ぐに
笑みを浮かべました。
『もし僕が君を裏切ったら、君が僕を殺して良いよ。僕はね…』
コショコショとワイドは
少女に耳打ちする。
自分の最大の弱点を。
少女は初めて
人間らしく驚きを表ました。
『其処をやられでもしたら、僕は一堪りもないんだよ。』
ワイドは自慢気に
笑みを浮かべました。
少女は内心
この人言ったのは嘘かもしれない。
と思いつつ小石を
其処にぶつけようとしたが
ワイドは翼を羽ばたかせ
距離をとってしまった。
『おっかないお姫さんだな…。其処は駄目だって今言っただろ。』
と歩きながら帰ってきて
少女と目線を合わせて屈んだ。
(本当なのかな…。)
『次のやったら子供だろうと、お前のこと一発殴るからな。』
少女は石を手放して
一度頷いた。
そしてワイドの
硬く大きな手の甲にキスをしました。
『私がもし裏切ったらあなたが私を殺してね。』と
ワイドは
本当に本当の弱点を言っていました。
少女はそれを感じ取って
誓いのキスを返しました。
ワイドは今まで一度も誓いのキスを返された事はありませんでした。
(変な人間だな…。気に入った。)
『ねぇ…一つ聞きたいんだけど。』
少女は唐突に切り出しました。
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