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とりあえず、二人は足を進めるが、目がほぼ見えていない純にとって、この明かりのないところを進むのは致命傷だ。
仕方なしに、ソルは純の手を引いた。
「もぉ、うちに惚れたぁん?」
いきなり手を引かれた純は、クスクスと笑いながら妄想を繰り広げ、最終的にアハハと笑い出す。
「今冗談を言ってる暇はない」
はぁとため息をつきながら、バサッと切り放す様に言ったソルは、、まるで「早く歩け」というかのように純の手をグイグイ引っ張った。
純は再び「ギャグや」と呟き「すこぉしは笑えや」とかブツブツとそっぽを向いて言った。
それを聞いたソルは、頭にきたのかピタリと止まった。
ピタリと止まったソルに、純はドンとぶつかってから、どうしたのかと、目が見えていないが前を覗きこんだ。
「どぉしたんや?」
なかなか動かないソルに何かあったのか聞いて見るが、ソルは黙ったままだ。
「……ていく」
やっと口を開いたのは、数分たってからだった。
純は小さな声で何かを言われたのを聞き取れなく「は?」と一言だけで聞き返す。
「…置いていく。お前をここに置いていく」
次はハッキリとそう言い、パッと純の手を放すと、その場から離れていった。
「待って!待ってなぁ!うちが悪かったぁ!!」
手を離されてハッとし、慌ててソルを引き戻そうと手を掴んだつもりなのだが、ポストに向かってひたすら謝る。
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