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「頼むから開いてくれよ……」
今の今まで開かなかったボールに祈りを込めて、堂々と前に出てきた。
ソルに気づいた不気味な人影は、明かりに照らされると、息を飲むほどの出で立ちだった。
目から血を流し、肌は青白く、薄笑いでこちらを見ていたのだから。
「……おっかねーな。これじゃ、悪党の方がまだましだ…」
どんどんとソルに近づいてくる不気味な人に対してそう言った。
そして、3mくらいの近さになるとソルはボールを投げた。開くことを願って。
願いが叶ったのか、そうではないのかはわからないが、ボールは不気味な人の顔面にぶつかり、ボールはその衝動で割れて、中にいたサーナイトが出てきて、不気味な人は、そのまましゃがみこむと、まるで正座をするかのように丸くなり、湯気のような白いモヤが出ていた。
「開いた……いや、ボールが壊れたのか」
サーナイトの姿を目視でき、顔が自然とほころんでしまう。
[マスター、あの目から血を流している方が倒れているうちに、あの女性を連れて高台に行かなくてはならないのでしょうか?]
サーナイトは、ボールの中で今までのことを見ていたため、高台へ行くようにソルに促そうとした。
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