第一幕 Ⅱ,儀式

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「あれ?なんやこれ…」 ソルは手を合わせてから、祭壇を調べていると、後ろから純の呟きが聞こえて振り返った。 「どうした?」 「これや…これ見てみ?」 純は少し、辺りを見るために足を動かしたのだが、砂利とは違う紙特有のバリッという音が聞こえて足元を見たのだ。 その、音を発したのは確かに紙であったのだが、何かの新聞のようにも見える。 「…羽生新聞?」 どうやらこの村だけの新聞の様で、記事の内容は砂と泥で汚れていて読み取れないが、日付と出版社だけが読み取れた。 普通こんな森の中に新聞があるのはおかしいのだが、この儀式に使用した火の火種として持ってきたのだろうと推測が出来る。 「…ん?この日付…197X年…8月9日?」 ソルはふと、新聞が発行された日付に注目をした。 確かに今日は8月9日だが、西暦がおかしい。今は20XX年のはずだ。 昔の新聞にしては、紙は劣化しておらず、ましてや刷りたての新聞に見える。 なので、この新聞は新しい新聞なのだ。 「197X年って…だいたい30年前やんか。てか、ここの村の村人全滅事件の日やんか!」 純は、ソルが呟いた新聞の日付を聞いてだいたいの何年前かを計算して呟くと、約30年前っていうことにハッとして、バッとソルの方向を向いて声を張り上げた。 一瞬、何のことなのかわからなくなるものの、"村人全滅事件"と言うワードを聞いてソルもハッとした顔をした。
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