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依…お前は怖くないのか…。
いつだって猪突猛進で傍若無人の、女のくせにリーゼントがトレードマークの幼馴染を見て思う。
夕焼けの逆光を受けて、依は両手を広げた姿のまま影だけに切り取られていた。
その姿は笑ってしまうくらいに神々しくて、美しくて、このまま目の前の光に消え入りそうなくらいに危うくて……。
危うい?どうしてそんな風に思う…?
この光景を
前にも一度見たことがある
それは直感で。
…でも、それが何の景色か思い出せない。
それは悲しい思い出だったのかも知れない。
…なんとなく、そんな気がする。
それでもやっぱり、俺は絶対に見た事がある…。
光にのまれてゆく依の姿を。
ほんの一刻の間だが、俺は幼馴染の後ろ姿に見とれていた。
依の影が光に飲み込まれてしまわないよう、見守るようにして。
この数秒後に地面に叩きつけられる事なんて考えもせずに。
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