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窓から差し込むオレンジ色の夕日が、今、俺の目の前にいる天女をさらに美しく装飾している。
まつ毛にかかる小さな滴が光に反射し、細かく砕いたダイヤモンドのように瞬いて。
「……あ、えっと、面白かったですか?」
彼女は、俺が返した宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の文庫本を胸に抱いて、髪を耳にかけながらそう言った。
一連の動作の間、彼女は俺に決して目を合わせてはくれなかったが、視線で床に「の」の字を描きながら頬を赤くする彼女は、死ぬほどいじらしかった。
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