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タイミングの悪い奴!
「きゃ―――――ぁぁぁぁ!」
咄嗟に抱きつかれ二人の距離はゼロになった。
どんな状況でもこの態勢に喜ばないはずがない!
『奴』によってもたらされたこのチャンス、逃せば再びナァナァな関係に逆戻りだ!
何か違うと解っていながらも大丈夫と彼女の背中に腕を回しキュっと抱きしめる。
「え?」
「好きだ」
『奴』の事をタイミングが悪いと毒付いたがそれは俺も同じようなもの。
何の脈絡のない流れからの告白にだったが彼女が返事のように俺の胸に顔を埋めて小さく頷いた。
「ずっと待ってたんだから」
「ごめん…」
「私も好きだよ…でもこのシチュ最悪じない?」
確かに…
仕留め損ねた『奴』によって与えられた有難いチャンス。
タイミングはハチャメチャだが今晩だけは『奴』に感謝しなくちゃならないな…
明日から『奴』に対しての見る目が変わるのも確か。
『奴』に与えられたチャンスで愛が成就したなんて究極に間抜けな話だが…
【カマドウマ】
神出鬼没な夏の風物詩、俺は『奴』の名前だけはこの先一生忘れないだろう…
おしまい
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