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ビルの一室。
大きな円テーブルが部屋の中央に置かれ、その周りに十席程の椅子が置かれていた。
部屋は薄暗くあまり分からないが、テーブルも椅子も高級感が漂っているのは間違いない。
椅子には既に九人の男女が腰を下ろしている。
その全てが権力者だ。
政治家、警察、果ては暴力団、殺し屋まで様々な職業のトップが集まっている。
「さて、そろそろ時間だが…」
一人の男性が口を開く。
まだ一つ空いている席を見つめている。
どうやら座る筈の人を待っていた様だ。
男性の他には誰も口を開かない。
目線だけが空席を射抜く。
「私なら此処だ」
扉から男が入ってきた。
その男は白衣を羽織った白髪の男だった。
「竜崎博士、遅いですよ」
全ての視線が竜崎に向く。
だがそんな視線など気にした様子も無く、ポケットから金色のロケットの様な時計を取り出した。
「十八時丁度。遅刻では無い筈だが?」
悪びれた態度など微塵も見せず無表情で言い放った。
誰も反論しない事に満足したのか空いている席へと移動し腰を下ろした。
部屋の空気は最悪に近い状態で重々しく、誰もが竜崎に対して冷たい目線を送っていたが全く意味の無い事を悟ると諦めて目線を戻した。
「…では、会議を始める。
まずは竜崎博士、貴方の研究報告を…」
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