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竜崎は周りを見渡すと小馬鹿にした様に鼻で笑ってから偉そうに話し出す。
「勿論、研究は成功した。既に実用段階に突入している。
全国民に配るまで量産するのも既にメドが立っている」
優越感に浸りながら竜崎は淡々と話す。
明らかに周りを見下しているのが分かる。
それは周りの者も感じたのか、明らかな不快感を顔に出していた。
だが、なにも言わない。
「貴様ぁぁ!」
いや、一人だけいた。
テッペンが禿げて丸々と太った如何にも偉そうな男。
見るからにバカそうだ。
「何ださっきからその偉そうな態度は!
私は政治家だぞ!たかが一研究員が調子に乗るな!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴り散らす様は実に醜い。
そして憐れだ。
既に今、自分が死んでいる事にも気づけてないのだから。
「おい!聞いている…の……へっ?」
胸に違和感を覚え、痛みが走り、痛みが強まり、触れた瞬間出血する。
そして男は静かに生き絶えた。
「研究は成功していると言った筈だがな。私がそれを使わないとでも思っていたのか?とんだ能無しもいたものだ」
どよめく男達を他所に竜崎だけは平然とも言い難い冷酷な目で横たえる男を見下していた。
死体は黒服の男達に処理され会議は再開された。
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「それではこれより《戦争計画》を実行する」
そして会議は終了した。
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