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「頼む!一回だけでもいいからさ!報酬とか可能な限りなんでも答えるから!」
と、国井さんは深々と頭を下げてきた。
俺をモデルにすることで、カメラマン生活で最もいい写真が撮れる気がするらしい。
どんだけ俺に期待してるんだよ…。
てか買い被りすぎだろ。
本当ならきっぱり断りたいところだが、こんだけ頭を下げられると断りにくい。
そんなことを考えながらあたふたしている俺に、会長が助け船を出してくれた。
「国井さん。春希さんも急なことで驚いてますし、体育祭も次のプログラムがあることですから、この話はまた後日ってことにしませんか?」
「そうだね。確かに急すぎたか。気が変わったり少しでも興味がでたらここに連絡ください」
と、国井さんが出した名刺を俺は受け取った。
「それじゃあ撮影があるんで、また今度」
と、さっきの粘りの強いお願いからは想像もできないほどスッキリとした別れの挨拶を残し、国井さんは仕事に戻っていった。
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