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「…はぁ、どうすればいいんだよ」
両親に本当のことを話して払ってもらうにしても、連絡を取るのに一週間以上かかるのはいつものことだ。
それでは遅すぎる。
そんなことを考えながら頭を悩ませていると、ふと一つの可能性が思いついた。
「モデルとかって、給料いいのかな?」
確か国井さんは『報酬は可能な限りなんでも答える』と言ってくれていた。
さすがに一回のモデルで15万も貰えるなんて都合のいいことは考えていないが、15万分の仕事をすることを条件に報酬を先払いにしてもらうことは可能かもしれない。
「気は進まないが他にいい案も浮かばない…。しかたないがダメ元で国井さんに聞いてみるか」
と、俺は国井さんからもらった名刺の番号に電話をかけた。
※※※
「と、言うわけなんです。無理を重々承知してますが、報酬を前借りでモデルのお仕事をさせていただけないでしょうか?」
国井さんには自分が本当は男であることと、記憶を失っていたことを隠し、つい買い物をしすぎてしまったことにして事情を話した。
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