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嫌味にならないぎりぎりのメイクが大切だと彼女は言う。
「座って」
尚美は促されるまま、いつもの席に腰掛け、両手を彼女の前に差し出した。
ミチコの話によるとネイルをする間、大抵の客は上から下まで観察してくるものらしい。
相手と自分を比べて、何か勝利のポイントを見つけ出しては優越感に浸る。
それが女のさがだと。
そしてその欲求をある程度叶えてあげれば、その客はリピーターになる。
ただし絶対にアクセサリーは身につけない。
もちろんブランド物などもっての他だ。
それが男性相手の商売と、女性相手の商売の違いなのだとミチコは言う。
それが彼女の信条なのだ。
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