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 彼女にしてみれば、決して嫌いな顔ではないが取り立てて誇らしいものでもなかった。  つぶらな瞳と言うほど大きくもなく、鼻は高くもないが低くもない。  何より一番の悩みは薄い唇だ。  いつだったか誰かが言った。 「その唇、薄幸そうだよね」  その尚美にとって残酷な言葉が、気付かぬうちに心のどこかで膨らみ、彼女の劣等感となっていた。  尚美はあまり化粧を好まない。  それはいい意味でも悪い意味でも、自分を誇張して見せたくないと思っているからかも知れない。
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