33人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女にしてみれば、決して嫌いな顔ではないが取り立てて誇らしいものでもなかった。
つぶらな瞳と言うほど大きくもなく、鼻は高くもないが低くもない。
何より一番の悩みは薄い唇だ。
いつだったか誰かが言った。
「その唇、薄幸そうだよね」
その尚美にとって残酷な言葉が、気付かぬうちに心のどこかで膨らみ、彼女の劣等感となっていた。
尚美はあまり化粧を好まない。
それはいい意味でも悪い意味でも、自分を誇張して見せたくないと思っているからかも知れない。
最初のコメントを投稿しよう!