プロローグ

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響き渡る轟音。 ホコリで霞む視界にも歪まない血に濡れた金髪。 それを見て。 俺は今までなんてつまらない世界を生きてきたんだろうと思った。 親に捨てられたと泣く子供を騙して根こそぎ全てを搾り取る人間だって、誰にも愛想を振り撒き善意の塊みたいな顔して裏では他人を蔑み嘲笑ってる人間だって。 俺にはなにより楽しくて、その全てを見るためになんだってしてきた。 俺は人間がいとおしかった。 予想の範囲内で足掻いてる人間が…なにより笑えた。 いとおしかった。本当に。 血に濡れ恐れられ、それでも何でもないように凛と佇む男。 平和島静雄。 あの化け物に会うまでは。
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