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彼女の言葉に赤髪の彼が額に青筋を浮かべて舌打ちした
「ハッ、ご一行様だぁ?
テメェ、ガキのクセに魔王の肩でも持ってるってのか?
……どっちにしても、虫酸の走るメスガキだぜ」
彼は、いつも通りのガラの悪い対応で彼女と会話する
私の隣で槍を構え始めた金髪の彼もやや呆れた様な表情を浮かべていた
一方の彼女は彼の悪態など気にも止めず、涼しげな笑顔を浮かべて口を開く
「あははっ……
私は一応、子供ではありませんよ?
こんなナリでも、私の歳は貴方達よりずっと上ですからね!
ついでに言うなら、私はこの城の主ではありません
魔王様は今はまだ、お取り込み中ですので」
彼女は彼の挑発に乗る事は無く、ただ淡々と、事務的に彼に応えた
「そりゃあ楽だ
なら、てめぇを潰しちまえば俺達の大本命に殴り込めるって寸法じゃねぇか
シンプルで良い」
「うーん
人の話は素直に聞いておくべきだと思うんですけど……
貴方達では正直、私には敵わないでしょうし
そんなに死に急ぐ事も無いんじゃないですか?
まぁ、貴方達がそれでも向かってくるならお相手はしますけど」
彼女は呆れた様とも言える溜め息混じりの口調でレオンを諭しているが、それは今の彼の神経を逆撫でる事に他ならない
私の予想通り、彼は明らかな怒りを内に抑え込む様にして目を伏せ、身体を震わせながら声を漏らし始めた
「くくっ……
はははははははッ!
じゃあ、構わねぇよな?
俺ァ……
目の前に居るバケモンって奴ァよ……
ブッた斬りたくなるンでなァッ!」
興奮する彼を見て、彼女はうなだれて大きな溜め息を吐く
困り果てた様に目を細めると、彼女はそれでもまだ彼に出来る限りの会話を試みる様に口を開いた
「この私が珍しく警告していると言うのに
貴方達はラッキーだったんですよ?
たまには真面目に相手をしようと思って
こーんなに大人しく話に乗ってあげたのに……」
とは言え、彼女の言葉は挑発的だ
それを大人しく聞いている彼ではない
彼は直ぐに顔を真っ赤に茹で上げ激昂した
「んなこたァ!
知ったこっちゃねぇってんだよッ!」
一度とは言え抑え込んだ怒りを瞬時にぶちまけ、激情した彼はその手に構えた大斧をその場で振り回して、深く振り被り、勢い良く目の前に居る少女へ向けて振り上げる
するとどうだ、斧頭が甲高い音を起てて外れ、そこから斧頭に繋がれた鎖が伸び、刃が大きく弧を描きながら少女へと向かった
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