The first contact

15/33
前へ
/398ページ
次へ
彼女の余裕の表れは慢心そのもの、その隙を狙うのは雑作もない事 これまでやって来た通りに、私がやる事は決まっている 「よくやってくれたわ、二人とも!」 炎術『スプラッシュ・ブレイズ』 私が手を掲げると彼女の足元が熱を帯びて紅く光り始め、その石畳の表面を僅かに溶かした 「なっ……!?」 彼女がそれにすぐ気付いたが、既に逃げる事すら叶わなかった 彼女は自らの足元から鉄砲水の様に噴き出す高熱の炎に焼かれ、辺りの酸素を喰らい尽くす勢いで燃え盛る炎に包まれた 先程までの笑顔からは想像が出来ない程の悲鳴をあげている彼女の身が焼き焦がれていく様が良く見える 「まだまだぁッ!」 私は手を緩める事無く続けて魔法を解放した 相手が明らかな格上で、強力な再生能力を持っていると分かった以上、手加減などもっての他、全力で魔法を叩き込むだけだ 冷術『マイナス・ヒート』 私が下へ向けて手を降り下ろすと先程の噴き出した炎は一瞬にして消え、同時に先程とは真逆に、彼女の頭上から降り注ぐ様に猛烈な勢いの冷気が彼女目掛けて放たれる 突然の温度変化と叩き付けられる様な気流に彼女の表情が苦痛を示し、片膝を着いてその場に伏せた 同時に、彼女が立つ石畳の床が急激な温度変化でビシリと音を立てて割れ、粉々に砕け散り、それに彼女もフラりとよろける 彼女の周りは不安定な足場に加え、先程の熱で周りの酸素もほぼ燃焼してしまっている筈だ 通常の生物であれば、立つことはおろか、生きる事すら不能の環境を造り出している 吸血鬼とは言え、これで立っていて貰っては困るのだ ここまでしてようやく、彼女から笑顔が消えた様にも見えた だが、用心に用心を重ねて最後の仕上げに更にもう一つ、トドメの魔法を解き放つ 流術『ストレート・ウォーティ』 私が下げた手を横へ凪ぐと、流れ出る冷気はそのまま、彼女の足元から水の柱を噴き出させ、螺旋を描かせながら彼女を呑み込んでいく 水の柱は冷気に触れる上層から瞬時に凍り付いていき、それに呑まれた彼女も私を睨み付けたまま、巨大な氷柱に閉じ込められた 一方の私も一気に呼吸が乱れ、その場で何度か咳き込み、重圧感が身体を支配した 私は集中力を取り戻す為にゆっくりと深呼吸をする あれだけの魔法を連続で使用したのだ、それなりの疲労感は当然の事 私が自らの成果を確認する為に顔を上げると、静かに私を睨む彼女と目が合った その時だ
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加