54人が本棚に入れています
本棚に追加
「女ァ! 冥土の土産が欲しいだろォ?!」
「別にいらないけど貰えるものは貰っておくわ。 それと私にも名前が」
「オレは宮瀬 雷兎! 能力は磁力! ヨロシクゥ!」
女の返事を待たずに男は更にパチンコ玉を射出する。
女は無言のまま座標を移動させつつそれを避けていく。 その動きに無駄は無く、一部の隙もない。
「大甘だぜェ! そんな程度でリーチ外したと思ってんのかァ?!」
男の言葉と同時にパチンコ玉が軌道を変え女に襲い掛かる。
それはまるで無機質な弾丸が明確な殺意をもって自ら動いているようだ。
女は、空中に浮かんだままパチンコ玉の集団を指差す。
瞬間、突風が吹き荒れる。
男は微動だにせず、足元は砂鉄で黒く染まっている。
突風が止む頃には、パチンコ玉は地面を這いつくばっていた。
「なるほど、貴方のその磁力とかいう能力は、能力の操作範囲から外れると制御出来なくなるのね、いい参考になったわ」
「ハッ、女ァ! テメェの能力もモロバレだぜェ?! 能力は風だろ、違うか?!」
「一々、怒鳴らないと質問できないの?坊や?」
最初のコメントを投稿しよう!