Prologue Ⅱ

6/14
前へ
/178ページ
次へ
「くかか……クールなぶりっ子してなんか楽しいですかァ?」 「……これでも手加減してるのよ? 貴方が苦しむ程度(・・・・・・・・)にね?」 「苦しむ程度に手加減(・・・・・・・・・)って事は、つまりいつもより増し増しってことだろォ?! 手()減なんだからよ?」 「口の減らないクソガキね、あんまりおイタをすると、一撃で屠ってしまうけど?」 「それは逆だろ?」 男の声は、女の前方から聞こえてきた。 そこに男の姿は無かったが。 「言っただろ?油断するから狩られるんだよ」 今度は後方、女は振り向くか迷い天空へと飛び出した。 空を一直線に切り裂き、直ぐに上空五メートルから俯瞰した女はこの戦いで初めての驚愕を口にする。 「なぜ、さっきの場所に?」 確かに女は男が目の前に居ない(・・・・・・・・・)と確認し、後ろから声が聞こえた(・・・・・・・・・・)のを認識したはず。 だというのに、男は女の目の前に居(・・・・・・・・・) 「ッ!」 「ヒャッハァ!」 女の詰まった声と、男の狂った雄叫びが聞こえたのは同時だった。 何が起きていたのか。 もし第三者がこの光景を見ていたならどう表現するのか。 簡単な事だ、気がつけば男も女も上空にいた(・・・・・・・・・・・・・・)と。
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加