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そのまま何もできないまま夜になった。
やることもなく、またやる気も沸かなかったので横になろうとした時、俺は後方に気配を感じて振り向いた。
そこには、黄色い目を光らせた二足歩行の生物がいた。
高さこそ1.5mほどだろうが、横は尻尾を含めると2mほどありそうだった。
小さなティラノサウルスみたいな感じだろうか、前足は申し訳程度にちょんとついている。
こんな生き物はいない。
恐らく生物実験で作られたのだろう。
あの惨事を引き起こした生物が、今、俺の目の前にいる。
涎(よだれ)を垂らしながらこっちにゆらゆらと寄ってくるのだ。
飢えているのだろう、目は狂気と喜びに染まっていた。
俺は、間違いなく捕食の対象だ。
周りは無音で風すらないのに、2m、1mとその距離だけがつまり、
そして、
そいつは後ろ足で地を強く踏みしめ、
真っ直ぐに飛びかかってきた。
動けない。
終わりだ。
そう思った刹那
目の前のそれは真っ二つになった。
肉片と血が飛び散り、顔にかかる。
「っ!ゲホッ!」
思わずむせ返ったが、それより気になる光景があった。
飛び散った肉片の奥に、大剣を携えた男と、弓を持った少女がいた。
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