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あれはちょうど10年前の夏休み…
いきなり仕事でしょっちゅう海外に出ていた父が、
「もう帰らない」
と言い出したのは。
…別れの日の朝。
父は海辺の散歩に私を誘った。
海が綺麗に見える場所で、父は私に
海のように青い色をした石のはめこまれたペンダントを
手にそっと握らせた。
――いつかきっと、これを返しにこい。…待ってる。
そう言って父は笑った。
あれから10年たった今も、
『海』は私の大切な場所。
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