崖の途中の始まり

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(誰だコイツ?いきなり、訳が分からん) 茂みの中のミヨシは心の中でそう呟いた。突然の暴力に対しても取り乱すことは無く、むしろ慣れているような感覚すらあった。それが何故なのかは、彼自身にも分からない。 (とりあえず、逃げないと……) いきなり襲ってきた奴が、話し合いのできる相手とは思えない。どうやら盗賊の類いでもないようなので、身ぐるみ全てを渡しても逃がしてはくれないだろう。そう判断した彼は、すぐさま逃げる算段を始めた。喧嘩をして勝った例しなどないのだ。 相手に気取られないようにゆっくりと首を巡らせて、退路を探る。そして足元の小石を数粒握ると、垂直に投げ上げた。 「ライト!」 「うお!?」 そう叫びながら後ろへ駆け出す。不意に現れた石に目を奪われた相手は、視界が真っ白になったハズだ。
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